東京から2時間半で出会える、東北の絶景【山形県:山寺】

五大堂からの絶景

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冬は苦手です。
寒さから体が縮こまり、生命活動が小さくなります。出かけるのが億劫になり、食に溺れる日々。そんな寒い時期に、寒い場所に行く楽しさを教えてくれた場所があります。それが、山形県と宮城県の間にある絶景、山寺(立石寺)。旅行会社などのCM等で、一度は見聞きしたことがあった山寺ですが、正直、行くことは考えていませんでした。冬ならなおさら。

しかし、東京駅から仙台駅まで新幹線で1時間半、仙台駅から山寺の拠点となる山寺駅まで1時間弱。『東北=遠い』という図式しか頭になかった私ですが、東京から2時間半で出会える絶景に、一気に山寺への旅に現実味が湧いてきました。牛タンとずんだ餅もちょっとした楽しみに加え、数年前の冬のある日、一泊二日で出かけました。

東京から一番近い(?)東北の絶景

東北の玄関口仙台駅へは、東京からたったの1時間半。山寺への拠点になる山寺駅へは、そこから仙山線(せんざんせん)に乗り換え約1時間で到着です。仙台と山形を結ぶこの仙山線ですが、仙台駅のある海沿いの平地から、徐々に徐々に高度が上がり丘陵部を経て奥羽山地に入っていく車窓からの風景は、東北の地形を肌で感じられ、目的地山寺に向かうまでの旅情を掻き立ててくれる、非常に魅力的な路線でした。

そんな山間部を超え、宮城県から山形県に入った辺りにひっそりたたずむのが山寺駅です。駅を出ると、すぐ向かいの山に、露出した岩肌やそれらしき建物がちらほら顔を出しているので、案内板と帰りの電車の時刻をチェックし、さっそく向かいました。

道中、飲食店の看板を数件見かけましたが、閑散期ということでしょうかほとんど営業してません(当然駅前にコンビニもなし)。そういった街のさみしさと冬の寒さが、遠いところに来たんだなぁとしみじみ感じさせてくれます。そんな冬の道を進むこと駅から10分弱で、山寺への入り口となる登山口へ到着しました。

凍った階段を1000段登る、困難な道

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    根本中堂

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    凍った石階段

登山口の階段を上るとドンと構えた立派な建物が現れます。思わず手を合わせたくなる程大きな屋根と雰囲気を醸し出すこの建物は根本中堂というらしく、国指定の重要文化財でブナの建造物としては日本最古のものらしいです。

この根本中堂の左に続く道を歩くと山門が現れ、そこから石階段を登り始めることになります(拝観料は大人300円)。気温は0℃前後で寒いはずですが、山道をひたすら登るため寒さはあまり感じません。ただ針葉樹に覆われ光が届かない冬の山道は、降り積もった雪が凍り、とにかくツルツル滑ってかなり危険です。

「筋肉番付」のアトラクションの如く、どこを通れば滑らないかと頭を使いながらの登山となります。この時期に山寺を上る人は数えるほどしかいないらしく、道中出会った人は10人もいなかったんじゃないでしょうか。ただただ、上ることにのみ集中する時間が流れ、どんどん雑念が消えていくようです。お寺の本堂参拝のための長い階段を上る行為というのは、そういった雑念を払うため意味と関係がありそうですね。もくもくと山道の階段を一人で登る。聞こえるのは自分の息遣いのみ。日常ではめったにない、自分と向き合う時間を体験した感じです。

そろそろ歩くのに疲れた頃、『一休みしていったら?』と言わんばかりに出迎えてくれる、岩と石碑が現れます。この岩が松尾芭蕉が、蝉の声がしみ入ると歌った岩、せみ塚としてまつられている岩と石碑です。夏だと五月蠅いくらい元気なせみの声がこの山中に響る渡るのでしょうか。山の魅力は、季節を変えて訪れたくなるような魅力がありますね。そこからさらに進むと別の石碑があったり上を見上げると建物が見えたり、立ち止まって写真を撮りたくなる風景が多くなります。ここまで来ると頂上まではすぐ、登山口から頂上まで約40分の道のりでした。

奥行きを失った、水墨画のような絶景

頂上に鎮座する奥之院に手を合わせ、一番の目的である立石寺開山堂(「山寺」で検索すると出てくるお馴染みの建物)と、絶景を拝める立石寺五大堂へ向かいます。この開山堂から絶景を望む五大堂へ向かう小道が雪と氷に覆われ、冬は非常に危険です。横のロープにつかまりながら、一歩一歩確実に歩を進めながら到着した五大堂には誰もいません。そしてそこからは、疲れも吹っ飛ぶ絶景が広がっていました。

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立石寺五大堂からの絶景

眼下に広がるのは、山間部に広がる建物と雪原。その間を抜けるように走る細い仙山線の線路と小川。そしてその平地を包み込むように立つ山々。視線に収まる全ての景色が雪で覆われ、風景としての色彩を失い、とてつもなく大きな水墨画のような風景が広がっていました。白と黒とそのグレデーションでかすかに奥行きは感じられますが、3次元なのに2次元的にどこまでも広がる風景は、疲れと寒さを吹き飛ばしてくれました。
5分、10分、誰も来ません。この風景を独り占め出来る贅沢は冬ならではないでしょうか。

平地よりもはやく夜がくる山。
寒さと雪と夕暮れが少々生命の危機を感じさせるため、名残惜しい気持ちを残し下山を始めました。先ほど見た絶景の余韻に浸りながらゆっくり下山をしたかったのですが、凍った山道の下山がとにかく危険で危険で。一度滑るとどこまでも止まらない恐れがあるため、慎重に慎重に歩を進めながら下山しました。

 

翌年、紅葉が深まった秋に山寺を再訪しました。冬に凍っていた階段は問題なく登ることができますし、山頂までの色づいた木々を眺めながらの登山は、冬とは違い素晴らしかったです。次は清々しい新緑の季節に訪ねてみたいと思います。 春夏秋冬、別の顔を見せる絶景山寺。ぜひ訪れてみて下さい。

冬に山寺に行く方は、十分にご注意を‼

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立石寺五大堂からの絶景(秋)

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    秋のせみ塚

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    秋に見た、開山堂横の納経堂

ちなみに…

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山寺への中継地になる仙台駅の駅中で食べたずんだ餅。『仙台に来たらとりあえず…』の気持ちで食べたんですが、めちゃめちゃ美味しかったです!塩昆布との相性が抜群‼

INFORMATION

住所:
〒999-3301 山形県山形市山寺4456−1
営業期間:
8時~17時(拝観時間は午前6時から午後6時)
※早朝は拝観料箱にお金を入れて、山門をくぐるそうです。
アクセス:
JR仙山線山寺駅から登山口まで徒歩約10分