トルコ東部の岩壁にたたずむ、秘められた遺跡【トルコ:スメラ修道院】

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トルコの風景と聞いて何を思い出しますか?
トルコ西部の大都市イスタンブールのモスクや中部カッパドキアの奇岩の風景、南西部の真っ白な石灰棚パムッカレも有名です。
そんなトルコを代表する風景たちですが、トルコ北東部にもそれに負けない遺跡があるんです。
峡谷を見下ろす高さ約300メートルの岸壁に張り付くように、ひっそりたたずむスメラ修道院という遺跡が。

トルコ北東部の都市トラブゾン

スメラ修道院への拠点となるトラブゾンは、トルコ北東部、黒海沿岸にあります。
トルコといえば、何となく乾いた大地を連想する人が多いかもしれませんが、ここトラブゾン近郊は黒海沿岸といこともあり、年間の降水量も多く他の都市に比べると街中にたくさんの緑が存在します。
また、海が近い港町ということで、どこかゆったりとした心地よい雰囲気で、アジアでありながらヨーロッパのようでもありました。

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街中の公園広場

スメラ修道院へのアクセス

そんなトラブゾンの南約50km、緑の深い峡谷を見下ろすように、高さ約300メートルの岸壁に張り付くように建てられたのがスメラ修道院です。

このスメラ修道院へのアクセスは、ツアー会社を使ってのミニバスでの往復、現地ツアーへの参加が基本になります。
街を歩いているとあちこちにツアー会社の看板があっていて、そのうちの一つを選ぶといった具合。
スメラ修道院まで、片道約1時間ちょっとで往復約2時間強、修道院の見学時間を考えると、午前中にツアー参加したほうが良いと思います。

スメラ修道院

トルコとは思えない風景

道中はトルコらしからぬ緑の多い風景で、標高も徐々に上がり、ゆるく山を登っていくような風景が広がります。片道約1時間ちょっとで、駐車場に到着。その後、再集合の時間を教えてもらい、あとは自由時間といった流れでした。

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日本の渓流のよう

ここに向かうまでの道中の風景もそうですが、駐車場からすぐの風景にまずビックりです。
深い緑のなかを勢いよく流れる川ときれいな水。信州や東北の日本の渓谷を思わせるような風景で、とてもじゃないけどトルコとは思えない風景です。

険しい坂道の先に

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ヒーヒー言いながら登る女子学生


そこから厳しい山登りの始まりです。
峡谷から高さ約300メートルの絶壁にへばりつくように建っているこの修道院への道のりは、勾配のきつい坂道を登り続ける事になります。

道はきれいに整備されてはいますが、標高も1500mあるため、遠足?と思られる若い女子学生も、ヒーヒー言いながら登っていて、負けじとヒーヒー言いながら登りました。
健脚だと約30分程でしょうか、緑たっぷりの山道を登ると一度広場に出ます。

 

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広場の雰囲気

雨上がりだったこともあり、山から白い靄が立ち上がって、広場の周りは何とも神秘的な風景でした。道中あまり人と会いませんでしたが、老若男女この広場で時間を過ごしていたんですね。

空気も新鮮なこの広場。

スメラ修道院は、この広場から岸壁に対して平行に、階段で横からアクセスする形になります。そしてそこには、時間が止まったまま天空にたたずむ、小さな街のような修道院がありました。

ひっそりとたたずむ、天空の街のような…

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「天空」な雰囲気の修道院


おぉ!
階段を上がりきると目の前には、小さくも非常に濃厚な風景が広がっていました。
広場から見えた赤レンガの建物(向かって右側)と岸壁の間にはちょっとしたすき間があり、その空間を使った小さな街のような空間が広がっています。
雲がかかった山の風景を合わせて見ると、まさに天空の街・修道院と呼べる風景ではないでしょうか。

白い石を積み上げてつくった建物は一回り小さく作られたスケール感。小人の街のようにも見えるサイズですが、そのサイズ感が身体感覚をそそられるように絶妙で、空間と身体の親密さを感じてしまいます。

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一回り小さいスケール感

この建物の創建は4世紀(日本では飛鳥時代の前!)、現在の姿のものは14世紀頃にキリスト教徒の修道院として建てられたものだそうです。深い峡谷から高さ約300メートルの岸壁。なぜこのような場所に建てられたのか。

それは、当時イスラム教徒が支配をしていた時代に弾圧を受け、平地では暮らしていけなかったキリスト教徒が、ひっそりと隠れ住む場所として、こういった場所を選ばざるをえなかったそうです。
トルコ中部カッパドキアにある、5万人が隠れ住んだ地下都市も同じ理由ですね。

中世という時代における「宗教」の影響力の強さと、それにより住むところを追われた人々。そういう人々が生みだした建築というのは、トルコだけでなく、世界中に存在するのかもしれません。そしてそれらは、例外なく美しい。そんなことをこのスメラ修道院を見て強く感じました。

まとめ

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岩壁に張り付くスメラ修道院


帰り際、改めて岸壁の方を振り返ると、岸壁にへばりつくようにスメラ修道院の建物が見えました。

平地では生きられないキリスト教徒が選んだ、断崖絶壁という場所。強大な力による弾圧の歴史を抱えた風景は、どこかもの悲しさを感じるものでした。

しかし、それと同時に、これだけ厳しい場所に建築を立てた人々の、力強い意志のようなものも感じる、非常に魅力的な風景でもありました。