道路が屋根で、屋根が道路!イラン北西部の、摩訶不思議な集落【イラン:マースーレ】

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マンションなどでよく耳にする、ルーフバルコニーという言葉。ルーフ(屋根)が上階の部屋のバルコニーになるという意味。
しかし、イラン北東部にあるこのマースレーという集落は、ルーフ(屋根)が公共の道になってるんです。
今回は、そんなぶっ飛んだ集落に行った時のお話です。

イランという国

摩訶不思議な村、マースレー村があるイラン。そのイランという国はよく不思議な国といわれます。

ニュースで耳にする情報だけ聞くと、外部に対して閉ざした、イスラム色の濃い危険な国と感じますが、いざ入国してみると、イスラム色もそれほどではなく、意外に俗っぽいところもあり、それほど危険を感じる事はありませんでした。都市部であれば近代的な建物も結構あります。

イランという国を説明するときに、よく地理的なことも含め「パキスタンとトルコの間の国」と例えられるそうですが、本当にその通りでした。

イランの東にある、パキスタンというイスラム色の非常に強い国。
街中には伝統的な服装に身を包んだ、髭もじゃの男性が多く、ほとんど女性を見かけることがない。見かけたとしても、黒や単色のスカーフで顔や全身を深く覆った姿。
それに対し、イランの西にあるトルコは、政教分離を掲げていることもあり、街を歩く男性の服装も非常にカジュアルな人もいて、女性のスカーフもカラフル、都市圏にいたっては、そもそもスカーフすら外している人もいるくらいです(当然地域にもよりますが…)

イランは、そんなパキスタンとトルコのちょうど間の国といった雰囲気です。ガラス張りの近代的な建物もちらほらあり、男性の服装も少しカジュアル、でも周りの目を気にして、カジュアル過ぎない感じ。

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水辺で遊ぶイランの女性

女性はスカーフで頭と体を隠している人もいれば頭だけの人もいる、非常にカラフルな色のものを選んでいる人もいれば、全身黒い人もいるといった雰囲気です。

100円で38,000リヤル

また、流通する通貨も、一度手にすると特徴を感じます。通貨単位はイランリアルですが、そのレートが、1リヤル=0.0026円程(2019.05.14現在)。

ベトナムの通貨ドン(1ドン=0.0047円)やインドネシアルピア(1ルピア=0.0076円)よりさらに安くなっており、紙幣の高額化が進んでいます。

もし日本円の一万円をすべて両替したら380万リヤル超。
高額紙幣も含めてお札がもりもりになり、一気に大金持ちになった気分になります。日本円で1,000円程度の宿に泊まると支払いも38万リヤルですが...。

イラン北西部の都市ラシュト

そんな国イランの北西部にある不思議な村マースレー。拠点になるのは、ラシュトという街です。
世界一大きな湖「カスピ海」沿岸に位置し、イランの首都テヘランからバスで5・6時間の場所にあります。
湖の沿岸部ということもあるのでしょう、乾いた大地のイメージがあるイランにおいて、街中では緑や花をよく目にしました。

また、イランは産油国ということもあ理るのでしょうか、とにかくバスの値段が安いのを覚えています。市内を走るバスだと日本円で10円とか20円、都市を行き来する高速バスでも、600円程度でかなりきれいなバスに乗れたのを覚えています。

そんなバスやミニバスを乗り継ぎマースレー村へ向かうことになります。

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ラシュト近郊で日本料理屋を営むおじさん

マースレーという集落

乗り合いバスとミニバスを乗り継ぐこと約2時間ほど、ラシュトから、南東へ60キロほど山岳地帯にマースレー村はありました。

道路が屋根で、屋根が道路

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道路が屋根に変わっていく…

道路が屋根になって屋根が道路になっていく…。本当に不思議な村です。村全体を見渡せる場所に立つと、目の前に広がる風景に呆然と立ち尽くしてしまいます。

その不思議な風景を村人が通ることで、さらに不思議さを増していきます。建物の屋根の部分を人が歩くのを目で追う。道路のような屋根を人が歩いていて、その上の屋根をさらに人が歩く…。だんだんエッシャーのだまし絵を見ているようで、たまらず自分もその風景の中を歩きたくなってきます。

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段々に積み重なっていく

住居という非常にプライベートな空間のすぐ上・すぐ前に、道路という非常にパブリックな空間が存在することになるこの村。

プライベートとパブリックの境界線が非常に薄いバリアフリー状態で、現代の日本ではちょっと考えられない風景ですね。一見住みにくい気がします。

しかし、実際街中を歩いていると、屋根でもあるこの道路空間は非常に居心地がよさそうです。家の中にいるより、この屋根の上空間のほうが居心地の良く思えて、この空間を住居の延長であると感じてきますのように使う。そして、住居というプライベートな空間がどんどん外部に溶け込み、この村全体が住居の延長のように思えて来くる。この道路であり屋根である空間はそんな心地よい公共スペースを生み出していると感じました。

となり近所の目がすぐ近くにあっても、それが苦にならない。そういう村(街)って、何だか心地いいんだろうなと思いますし、羨ましくも思います。

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かわいい黒猫のよう

道が行き止まりになっている場所に、女の子3人がちょこんと座っています。道路に座っているように見えますが、そこは屋根。服装も相まって、何だかかわいい黒猫のように見えてきました。

まとめ

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斜面に立つマースレー村

斜面地という地形を受け入れた上で、地の利を最大限生かした空間づくりを行う。プライベートな空間がパブリックに溶け込むことで、村全体が住居の延長のようになる。マースレー村が持つ魅力は、そういった所から生まれてくるものだと思います。

世界には、現代の日本では考えられないような、風景が広がっている、マースレー村は、そんなことを改めて感じさせてくれた場所でした。

次回は…

アラビア半島の乾いた大地に眠る、ペトラ遺跡について書きたいと思います。

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乾いた大地に残る遺跡